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2026/08/10
イオンがタイ食品小売30店を売却ーアジア小売の「大移動」がベトナムに集結する
2026年8月7日、タイの大手流通グループ・セントラル・リテールがイオン(タイ)の株式取得契約を締結した。対象はタイ国内で「MaxValu」ブランドのスーパーマーケット30店舗を運営するイオン(タイ)社で、取得完了は9月30日予定、全店舗は「Tops」に転換される。イオンは40年以上続けてきたタイの食品小売から撤収し、資本と注意力を一点に集中する。その行き先はすでに明確だ。
ベトナムだ。
イオンが今夏だけで開業したモールはダナン・タインホア・ハロンの3棟。直近では旧フーリー(現ニンビン省)でVND9,400億・26,000㎡のモール着工(2026年8月・2027年Q4開業予定)も発表した。FY2030のベトナム売上目標は3,000億円。タイ売却益がその燃料になる。一方セントラル・リテールも、ベトナム44ショッピングセンター・330店舗・26省市の網を持ちながらハノイ環状線沿いへのさらなる出店を表明。タイと越の両市場で食品小売支配力を同時に強化している。国内ではWinCommerce(5,000店超)・Bách Hóa Xanh(3,191店)が年間1,000店超の純増ペースで走り、韓国系GS25は429店超で北部展開を加速する。
では、この市場はレッドオーシャンになるのか。数字はそう言っていない。ベトナムのモダントレード比率はまだ約40%、タイ65%、マレーシア65%と比べると拡大余地は十分残る。コンビニ密度に至っては日本の人口100万人あたり約4,500店・韓国4,000店超に対し、ベトナムはまだ100〜150店台だ。市場の「椅子の数」自体は増え続けている。
ただし正確に言えば、「どんな椅子か」で話は変わる。汎用スーパーを今から一から立ち上げてWinCommerceやBHXと戦うのは、彼らがすでに持つサプライチェーン・ロケーション・顧客データの優位を追いかけるコストが見合わない。しかし専門フォーマット(健康・美容・ペット・スポーツ)、地方省都、プレミアム輸入品チャンネルはまだ誰も取り切っていない。そしてブランド・サプライヤーとして「この急拡大する棚に乗る」立場ならば、今が最もウィンドウが開いている瞬間だ。棚を作るのは強い者に任せ、棚に乗る側に徹する。
その選択が、2026年のベトナムでは最も合理的な参入戦略になっている。